〜POWER〜
第一章・・・輝き
「アリーっ!何やってんの?」
図書室で机に向かうアリールに向かってレイディナは言った。
「何って、もうすぐテストだよ?」
「そうだっけ?」
とぼけながらレイはアリーの隣に座った。その手には一冊の図鑑。アリーの机にはいっぱいに広げられた資料やノートが細かい文字と共に敷き詰められていた。
「そうだよ。テスト勉強しないの??」
「うん。」
あっさり答えたレイは図鑑をペラペラと開き出した。
「邪魔しないから続けてていいよ。息抜きしたくなったら声かけてね。」
そういうと、読書とは思えない読書にレイは没頭し始めた。
「うん、そうするよ。ま、いつもの事だよね。コピーは?」
尋ねるアリーにレイは答えた。
「いつも通りでよろしく♪」
「ハイハイ、それなりにノート整理してからね。」
「今のままで充分だよぉ。」
猫なで声を出すレイ。ただ、視線の先には再び勉強に集中しているアリーがいた。それを悟るとレイも読書に没頭した。
暫くの間は無言の時が続いた。図書室特有の香りが漂い、気持ちを浄化させる。そして、アリーはノートの端まで文字を埋めて一呼吸おきながらペンを置いた。チラリとレイを見ると目を輝かせながら、図鑑に目をやり、アリーのノートより細かい字に視線を走らせていた。
「・・・何読んでるの?」
好奇心でアリーは口を開いた。
「ん?これ?んとね、アフターマンっていう本。すごい面白いんだぁー!・・・。」
ニコニコしながら読み続ける。聞いた事の無い言葉や、読んだ事すらない難しい文体が書かれているのをアリー見た。試験の話題に戻そうとするのを躊躇い、彼女は本について聞いてみた。
「『アフターマン』って?」
「人類が滅亡した後に生きている動物たちの事。何万年も先に生きていると学者たちが、空想から生み出した生き物なの。空想なのに、体長とか特長とか細かいし、見て、この絵もすごい綺麗じゃない?本物っぽくて(笑)」
「う〜ん、確かにね。」
笑顔で返してはいるが興味はあまり出ないアリーに対して、興奮気味にレイは話す。
「模型とか作りたいな〜、針金かなんかを骨組みにして、毛まで一本一本くっ付けていったりさ。楽しそうでしょ!!?」
「あ、私は一応、テスト勉強だけどね。もう5日切ったし。」
「そっか。ノート、前日でもいいよ。無理しないでいいしさ。」
「レイらしいね、なんか。」
呆れた様にアリーは言葉を放つ。
「まね〜。楽しい事優先しなきゃ。」
思い立ったように突如レイは席を立つ。
「そう言えば大学書類提出した?」
「うん、もちろん。」
「変わらず?」
「そう、心理学科。レイも変わらず?」
「うん。大学でもよろしくね。」
左腕に図鑑を大事そうに抱えながら右手を差し出す。
「そういう事は、テスト終わってから言う事。で?なんで慌てたの?」
「へへ・・。書類、家に忘れたかも。ま、いいや。先生にとりあえず報告しに行って来るね。んじゃね〜!」
そう言ってレイはその場を立ち去った。
アリーは思った。
相当大事だってアレだけ先生言ってたのに・・・。相変わらずだなぁ、もぅ。
そうして再びノートのページを捲り、ペンを取った。
チャイムが鳴った。遠くからレイの声が聞こえる。
「アリー!あと10分で英語の小テストだよぉ!」
「やってあるよ。あと確認だけ。レイはこれからでしょ。早く覚えなよ〜!」
「うーん!適当に点数稼いどくよ〜。じゃね〜!!」
いつの間にか他人の視線を集め、立ち上がってる自分を恥じながらアリーは再び机に向かった。
言葉どおり、運命の歯車は回りだしていた。
そしてまた、フレデリックという一人の男は別の世界で着々と年と経験を重ねて行った。
この三つの歯車が噛み合い、狂い出すのを彼らは知る由もない。
何もかもこれからです。
いえ、既に始まっていたのかもしれません。
運命という名の物に流され、巻き込まれていくのは・・・。
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