帯石観音/山口県周防大島町
周防大島巡り。次に向かうは島の中央部、嵩山の中腹にある帯石観音。

ここは南無阿弥陀仏と刻まれた巨石が名物。
また、巨石に入る筋が妊婦の腹帯に見えるところから安産祈願で名高い。
ハイ、これがその巨石です。

石は高さ8メートル。ここに唐から帰朝した弘法大師が何と筆を投げて南無阿弥陀仏の六文字を書いたそうな。
唐で手足口に筆を持ち、ひとっ跳びで五行の書を書いた大師サマ、ここでもひとつ伝説の必殺技を披露してしまったようだ。
しかもその字は金色に光り、伊予からも見えたというから伝説もここまで来ると「作り過ぎだろ!」とツッコミを入れざるを得まい。
いやいや。筆を投げただけで石に字が書けるのかぁ?あやし〜…などと言ってはイケマセン!
大師サマの筆には瞬間自動筆記装置が装着されているんですっ!しかも金インクで。
…あ、弘法筆を選ばずでしたっけ?
あんまり無茶な大技ばっかり連発してるとマリックさんみたいにウソじゃん!とか言われちゃうから気をつけてくださいね。
この島には何故か弘法大師ゆかりの信仰施設が多い。
というか瀬戸内海の島って何故か大師信仰が盛んな気がする。遣唐使の入唐ルートと関係があるのだろうか?
観音堂の裏側に回ってビックリ!長押の上のわずかな空間にびっしりと小石が積まれていた。
どんな思いでこんな狭いスペースに石を置いていくのだろうか。
参拝に来た人が一人一個づつ並べたのものだろうか、それとももしかして一人が全部の石を並べたのだろうか…
昼なお薄暗い人気のないお堂の裏にて繰り広げられる小石の行列。
弘法大師のアストロ球団的な超人技も凄いが、地味で執拗な行為にも驚愕せざるを得ないのであった。

気を取り直して観音堂の中におじゃまします。っと。

おおお、安産祈願といえばコレ、乳絵馬。
やっぱり安産のお寺といったらコレがないとね。
乳絵馬はどれも若干埃が被り、貼ってあるセロテープも黄色く変色しているところを見ると最近の奉納は少ないようだ。
日付が判る中で一番新しいものは昭和の終わり頃のものだった。

この乳絵馬を見ていて気が付いたのだが、奉納者が決して若い女性だけでない、むしろここに奉納されていた多数は年配の女性だった、という事実。
これはどういう事か?
それはつまり安産祈願だけでなく、乳癌等の乳の病気にならないように乳絵馬を奉納しているのだ。
何となく勝手に盛り上がっていたが、若干トーンダウン。
もっとも奉納する方としては乳癌にならないように必死なわけで、絵馬を見て勝手に盛り上がってるアホのことなどはなっから気になどしていないのだろうが。
埃が積もって茶色く変色した乳絵馬からは心なしか人生の悲哀を醸し出しているようないないような。
乳絵馬に混ざって九州でも見られた祈願文もあった。
いわゆる奉納者の年の数だけ願い事を書いた紙の事である。
この後、山口県内で同じような祈願文を幾つか見かけた。
この祈願文だけに限らず、山口県の民間信仰全体に関して言える事かと思うが、特にコレといった特徴はないが、関西、四国、九州の習俗が程よく混合しているような印象があった。ある意味「西日本スタンダード」なのかもしれない。

「辰が良くなりますように」という事?辰って???

本尊を挟んで逆サイドには棚がしつらえてあり、小さなお地蔵さんが並んでいた。

古風な乳絵馬奉納の習俗と何となく今っぽいミニ地蔵奉納。
その対比が面白かったです。
2006.8.
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