茂兵衛堂/山口県周防大島町


周防大島に茂兵衛さんという人を祀るお堂があるというので見に行ってみた。

狭い山道を上っていくとポツンと小さなお堂が建っている。そこが茂兵衛堂だ。




この茂兵衛というお方、中務茂兵衛という名で四国八十八ヵ所を280回も回ったという超人である。
…280回×88ヵ所=24640ヶ寺…
総距離約40万キロ、もうチョットで地球から月に到達しようかという壮大なる距離の無限ルーティーン。


弘化4(1847)年生まれの茂兵衛さんであるから、勿論、現代のようにビックリお遍路&温泉バスツアー「納経帳は添乗員さんがまとめて納経所に出しに行くので皆さんお土産屋でお接待のお茶でも飲んでてください〜」、な〜んて事はありえない。すべて自らの足で刻んだ偉業なのである。
恐らくこれだけ激しく八十八ヵ所巡りをした人はいないだろう。


また四国中に220以上の道標を建立し、自分だけでなく他のお遍路さんにもやさしい巡礼者だったようだ。

そんなハイパー巡礼者の茂兵衛さん、大正11(1922)年に七十六歳の生涯を閉じたのも281回目の遍路の途中であったという。人生そのものが遍路であったといっていいだろう。
「人生とは旅であり、旅とは人生である」とは本当はこの人のためにある言葉だと思う。

そんなハイパー巡礼者の茂兵衛さんを祀るのが生まれ故郷にある茂兵衛堂。
建立は昭和58年。善通寺の管長を迎えての開眼法要だったという。
そこまでに生き神様として信仰された茂兵衛さんは今、お堂の中央に鎮座しております。

中に入ってみる。



う〜…微妙…

知らなければ弘法大師と間違えてしまいそうなそのスタイル。

しかしハッキリ確かめたわけではないのだが、どうもハリボテっぽいような…
しかも、顔の造作とかあんまり上手じゃないような…

    

生前、280回巡礼をし、人々から生き神様とあがめられた人物を顕彰しよう、という気概はあるのだろうが…




生前の茂兵衛さんの写真、茂兵衛像と比べてあまりにも似ていないぞ。



「コレ、俺かぁ?」とチョット不満気な様子だったりするのだろうか、茂兵衛さん。



お堂は小高い丘の上にあり、眺めが良い。

この周防大島の出身者といえば何といっても宮本常一。
民俗学者として日本中を歩き回った民俗界の巨星である。
宮本といい茂兵衛さんといい、この島の人たちにはここではないどこかに恐れず出向いていく勇気のようなものが具わっているのだろうか。
そういえばかつてはハワイへの移民も多かったと聞く。

慶應2(1866)年、19才の時に四国に渡って以来、故郷の土を一度も踏むことがなかった。
この風景、茂兵衛さんの激しい遍路人生の中で心に浮かんだことがあったのだろうか。



地球から月へと到る距離なれど 前へ前へと回り道なり〜  独観




2006.8.
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