■ 2004/03/15 株価は世相を映す鏡

先日の本コーナーでは、最近、「シミュレーションの株式投資」を始めたことを書きました(→ 本サイト内関連ページ)。

これは、「ケイゾン」というサイトに会員登録することで、全くお金をかけずに、ほぼ現実の投資に近い形で株式売買のいろはが学べるというものです。

で、これまでの私の“戦績”ですが、始めた時期がよかったのか、当初は購入した株価が下がり、元手の1000万円を割り込んでしまいましたが、その後、上向きの景気に助けられる形で連日手持ちの資産がえていきました。

現実もこんなに簡単に資産が殖えるなら、実際に株を購入するのも悪くないなと思っていましたら、やはりそんなに甘いものではないようで、先週末にかけて大幅に株価が下落してしまいました。

今回のことで、個々の株価が個々の理由だけで値を上げたり下げたりしているわけではない、という当たり前のことを身をもって(?)知ることができました。

先週末の株価の下落の場合、いくつかの要因を挙げることができます。その一つ目には、アメリカ経済の先行き見通しというものがあります。そのアメリカの株価が先週末に大きく下がりました。そのため、日本の株価もそれにつられるように大きく下がってしまいました。

それに加え、同じ時期にスペインで大規模なテロが発生し、多くの犠牲者が出る悲惨な出来事がありました。これも世界経済への悪影響となって直ちに現れました。このように、世界中のあらゆる出来事が連日の株価に大きな影響を与え、それに株式投資をやり取りする人間の思惑が複雑に絡まり、時々刻々株価というものは高下を繰り返しています。

私の場合、現在はシミュレーションでの株取引をしているわけで、どんなに損失を出しても全く痛くもかゆくもありませんが、こうした株の値動きを逐一追っていますと、株式の世界の奥深さを感じないわけにはいきません。

先日も書店の株関連のコーナーで、何冊かの専門書をしばらく読んでいました。実際に購入する気にまではならなかったものの、それぞれには興味深いことが書かれていました。文章にされたそれらの事柄は、“常識”的な範疇はんちゅうに入ると思いますが、それでも、その当たり前のことがいざ自分で株を運用するようになるとできなくなるのが、哀しき人間というものなのでしょう。

それらの中で頻繁に書かれているのが、「いかにして損失を少なく抑えるかに腐心(ふしん:〔ある事を実現しようとして〕心をいため悩ますこと。苦心=広辞苑)しろ」ということです。その場合、一番手っ取り早く、最大の効果を挙げるのは「損失を出している銘柄をなるべく早く売り、それ以上の損失が出ることを防ぐ」という手段に出ることです。専門的には「損切り」といいます。

しかし、私も実際にシミュレーションをやってみてわかったことですが、その「損切り」がなかなか実行できないのです。その最たる理由が「人間の欲」です。損失が出るということは、自分が購入した時点よりも株価が値下がりした状態です。

しかし、より長いスパン(span:時間的な幅=広辞苑)でその銘柄の値動きを見ると、過去には高い値段をつけていたことがわかります。それで、「損している今は我慢して持ち続け、やがて値上がりに転じた時点で売ろう」と往々にして考えてしまいます。

具体的な銘柄名を書くことはやめますが、私もある値下がり株に悩まされました。もっとも、私の場合は実際に株式投資を始める前段階としてシミュレーションを行っていますので、現実的に私が購入できそうな安い銘柄のものを選んで購入しています。

つまりは、元々の株の値段が低いため、損失が出たといっても数万円単位です。しかし、その“問題の株”は先週末にはとうとう8万円ほどの損失を生んでしまいました。そんなこともあり、今週の取引きが始まった今日、その株は損をしたまま手放してしまおうと考えました。

ちなみに、株の取引きというものは、その株を買いたいという人があって初めて自分の株を売ることができます。つまりは、証券会社に売るわけではなく、人間が人間に売るというわけです。ですから、値下がりが続いている株はいくら自分が売りたくても、買い手はなかなか現れません。

しかし、幸いなことに、週明けの今日は東京市場も4日ぶりに回復基調で売り買いが始まり、“問題の株”も値上がり基調に乗りました。そこでまた欲張りな考えが頭をもたげ、「もう少し売らずにいれば、もっと値上がりするかもしれない」とのささやきが聞こえてきましたが、せっかくの値上がり基調がいつまた値下がりに転じてしまわないとも限りません。そこで、多少の損失は覚悟で売りに出し、結局売り切ることに成功しました。

売った株の株価をその後見たらさらに値上がりしていました。が、ま、仕方がありません。

何でも、相場の格言に「アタマとシッポはくれてやれ」というのがあるそうです。

株をやる人間というものは誰しも、一番の底値で買い、天井と呼ばれる最高値で売りたいと考えます。つまりは、天井の高値が「アタマ」で、それ以上下がりようがない底値が「シッポ」になるわけですが、それを見極めることは不可能です。

であるのに、それにこだわったがために手痛い目に遭うことが少なくないことから生まれた格言なのでしょう。ある程度の儲けを手にしたら、それ以上の儲けは相手にくれてやるぐらいの余裕が結局はより大きな利益につながり、また、手ひどいしっぺ返しを受けずに済むというわけです。「頭と尻尾には毒がある」ともいわれるそうです。

ともかくも、アタマはともかくシッポにだけは関わりたくないものですが、その一方で、より効率のいい銘柄を見つけ出すことが、より少ない投資でより多くの利益を得ることにつながります。

今日現在(前場=午前の商い)の私の手持ちの銘柄でいいますと、【7000円】の利益を出しているものがあります。しかし、それぞれの購入代金は大きく異なります。一方は【61万7千円】で購入した銘柄です。そしてもう一方は【6万1千円】で購入しました。どちらが効率がいいかはおわかりですね。

後者の銘柄は今日の前場に購入したもので、購入時の一株の値段(※株は1株、100株、1000株など、それぞれに定められた単位数で取引きされ、この場合は1000株まとめての購入と定められています)が【54円】だったものが、午前中だけで【61円】へと、率にして【12.96%】値上がりしています。

しかし、ま、これが実際の取引きであれば、値上がりしたと喜んでばかりもいられません。なぜなら、株は株のまま持っている限りは本当の意味での自分の財産ではないからです。その株を売って現金に換えることで財産としての価値が確定します。

そして、この株の売り買い双方の際には「手数料」がかかり、さらには、儲けが出た場合は税金がかかるからです(※正確には「キャピタルゲイン課税」=売却代金×1.05%)。ということは、数千円単位では現実的な儲けには程遠いのでしょうね。

先日斜め読みした専門書には、10億円の利益を上げた人の教訓めいたことが書かれていました。その人がいうには、株に限らず、その人に与えられる「上昇機運というものは人生において3度」だといいます。しかし、残念なことに、自分が今現在「上昇機運」にあることは誰も気付くことができず、あとで振り返って初めてそれを知ることになるそうです。

株式投資の例でいえば、資産が2倍、3倍と殖える段階を経験すると、人はさらに欲が出て大きな賭けに出てしまいますが、多くの場合はそこに落とし穴が待っているもので、全てを失って元に戻ってしまう、という例が大半であるといいます。つまりは、自分の上昇機運が既に終わっている段階でさらに“勝負”に出るために失敗してしまう、というのです。

株価というものもこれと同じように考えることができます。それを端的に証明したのが「光通信」というある意味有名な銘柄です。この銘柄は一時いっとき異常なほどの高値をつけました。そのブームに乗るようにして、その銘柄に多くの個人投資家も群がりました。

しかし、その銘柄ですが、今チャートで確認してみたところ、現在は1株【5000円】ほどにまで値を持ち直しつつありますが、昨年の春頃までは1株【1000円】の状態で全く値動きが見られなかったようです。一時期は当時の最高株価と比べると2千分の1でしたか、数字ははっきり記憶していませんが、信じられないほど下がっているといいます。かといって、異常高値相場を知っている者は未だにその銘柄に“夢”を見て、手放せずに持っている者がいる、という壮絶な話です(?)。要するに、株価にもその株価に見合った相場というものがあり、極端に値上がりしたものや値下がりしたものは、おのずと本来あるべき価格水準に戻る、ということになりそうです。

【本日の豆訂正】:この訂正文は19日に、追加の形で書いています。上で書いている「光通信」の株価ですが、19日、それが書かれていた本で再度確認してみたところ、最高値の頃は一株240万ほどだったそうですので、19日時点の終値【5180円】で割ると、470分の1ぐらいといったところでしょうか。それにしても、その本が執筆された2月頃の時点では一株が【1000円】ほどをつけていたわけで、1カ月ほどで【4000円】ほど値が上がっている計算になりますね。これはまた、「光通信」株は“買い”なのでしょうか?

いずれにしても、実際の株式投資は行わず、シミュレーションで投資気分を味わうだけでも、世の中の動きには敏感になること間違いなしです。

あらゆる出来事を株価とリンクさせることで、その影響を自分の頭の中でシミュレーションする癖をつけることはあながち無駄なことではなさそうです。頭の中だけでのシミュレーションであれば、多大な損失をこうむることとも無縁ですしね。

一つ具体的なことでいえば、スペインでのテロ発生のニュースを受け、日本国内でもテロ懸念のため航空や保険の関連の株が値を下げた一方、値上がりした銘柄があるそうです。

それが何かといえば、「興研」「重松製作所」というメーカーの株だそうで、いずれの企業も「防毒マスク」を製造しているといいます。

もっとも、そのことを伝える13日付の日経新聞の記事によりますと、両メーカーの株価は「テロが起こると真っ先に買われる“定番銘柄”」なのだそうで、日本国内のテロ懸念を受けての“買い気配”というよりも、「一種の株価材料」のようなものだそうです。いずれにしましても、テロ事件が相場に跳ね返る現実は、人の生き死にまでも“金儲けの材料”にしてしまう相場の世界のシビア(severe:きびしいさま。容赦のないさま。深刻なさま=広辞苑)な面が現れたケースであるといえます。

そういえば、「風が吹けば桶屋が儲かる」といういい方があります。その正確な意味を知るために広辞苑で調べますと、次のようなに書かれています。

「風が吹くと砂ぼこりが出て盲人がふえ、盲人は三味線をひくのでそれに張る猫の皮が必要で猫が減り、そのためねずみがふえて桶をかじるので桶屋が繁盛する。思わぬ結果が生じる、あるいは、あてにならぬ期待をすることのたとえ」

思わず「へぇ〜!!」といいたくなりますね。風が吹けば桶屋が云々といういいかたはこれまでにも耳にして何となくわかった気になっていましたが、風と桶屋さんとの間にネコやネズミまでもが介在していたとは、、、(^O^;

しかし、現実世界では、この風から桶屋に行き着くほどの関連が世の中のあらゆる物事同士にも張り巡らされており、ある物事が全く関係なさそうな事に強く影響してくることは少なくなさそうです。そして、それを一番敏感に反映するものの一つが株価ということだけはいえそうです。

「株価は世相の鏡」といってしまってもいいでしょうかねぇ。

【本日の豆設問】:マラソン女子の高橋尚子選手が、アテネ・オリンピックの代表選考からもれましたが、このニュースは株価にどう影響を与えるでしょうか?

【本日の景気豆知識】:一般的には、景気が上向くと消費も上昇すると考えがちですが、専門家によりますと、逆なのだそうです。つまりは、まず「消費が上向き、少し遅れる形で景気の上昇が数字になって現れる」ものなのだそうです。そして気になる今現在の経済状況ですが、20数年ぶりに消費が1980代と同程度に高いそうです。ということは、遅れて景気の上向き傾向が見られることになりますが、今回の消費のピークはもう過ぎているそうです。その傾向を見るのに一番わかりやすいのが、紳士服の売上高だそうで、それが既にピークに達しているそうです。これらの分析から、景気の上昇も間もなく収束してしまうことになるかもしれません。もっともこれは経済の専門家の見方で、いつの時代も経済専門家の分析は外れ(?)そうです。現実の経済はどうなることになりますやら。