| ■ 2004/01/20 カタロジストとデジタル遊び人 |
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新聞に掲載されてから少し時間が経ってしまっていますが、11日付の日経新聞の文化欄に、作家の高橋源一郎(たかはし・げんいちろう:1951年、広島県生まれ。横浜国立大学中退。1988年『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞。著書に『官能小説家』『日本文学盛衰史』などがある=2004年1月11日付けの日経新聞より)さんのコラムが載っていて、面白く読みました。 コラムに付けられたタイトルは_「カタロジスト」です。 「カタ、、ロ、、ジスト? 何それ?」ですが、それもそのはず、この新語(?)は、高橋さんが勝手に作った造語で実際には流通していません。ご安心を。 で、そのコラムでは、高橋さんのモノに対する飽くなき探究心がはじめから終わりまで綴られています。 そもそもの始まりは、彼が小学校2年生の時分のことです。彼はいつものように少年雑誌をパラパラとめくっていると、それまではそれほど気にも留めていなかった広告のページが突如彼の購買意欲を刺激し始めました。 今ではあまり見かけなくなりましたが、それは少年向けの通信販売の広告ページで、そこには希少価値の高い「切手」が載っており、高橋少年の購買心を強烈に刺激することになります。 「いちばん値段が高いのが、『月に そういえば、遥か昔にそんな通信販売の広告を同じように目にしたことを私も思い出しました。確かに、「月に雁」というような切手も目にしたような気がします。あと私の記憶に残っているのは、「見返り美人」というのもあったような、、、記憶は不確かですが。 それにしても驚きましたが、発売当時「800円」だった切手が、現在は貴重品ということで、「18500円」もの値がつくのですね。当時無理してでも買っておけば、今頃はそれを売ってお金に換えて、マザーボードの1枚も買えていた計算になります。ま、当時の無理がマザーボード1枚にしかならないというのも、逆にちょっと寂しい気がしないでもありませんが、、、。 ともかくも、高橋少年はその切手の広告を見て以来、「切手コレクター予備軍」のようになってしまい、明けても暮れても「欲しい、切手、、、欲しい、切手、、、」とずっとつぶやくような生活になってしまった(?)ようです。 しかし、小学校2年生にとってはその切手は高嶺の花で、とても実際に買うわけにはいきません。そんな高橋少年の前に、ある日のこと、“救世主”が現れます。高橋さんは生まれは広島ですが、当時は既に東京に移り住んでいたのか、同じアパートに住んでいた芝浦工大に通う男子学生が高橋少年に「源一郎君、コレあげるよ」といって、その学生さんがコレクションしていた切手の一部をプレゼントしてくれたのだそうです。 何ともいい話ではありませんか。 しかし、この話にはさらに「いい話」の続きがあり、少年時代から30年ほど経ったあるとき、高橋さんは母親から衝撃の新事実を聞かされたといいます。 曰く、そのときの学生さんは高橋さんの母親に恋心を寄せていて、「あなたが好きだ」といって泣いて告白したといいます。しかし、高橋さんの母親は「ダメです。いけません。勉強に励んでください」といって断ったそうです。学生さんの淡い恋心は実らず、夢破れた学生さんは大学を辞め、郷里に帰っていったそうです。 つまりは、下心から高橋少年に切手をプレゼントしたのかもしれません。いや、それは、恋する者の ともかくも、そのようにして、結構高価な切手を手に入れた高橋少年はいよいよ切手コレクターへの道を突き進んだかといえば、そうではなく、相も変わらず、雑誌の広告ページを見ては、ああでもないこうでもないと所有したときを空想することに没頭することになります。 そうです。「カタロジスト」とは、実物を手に入れることよりも、手に入れたときのことを夢想してカタログを見て楽しむことに無常の喜びを感じる性癖を持つ人種を指していたのです。 そのようにして、切手に関する知識ばかりが豊富になり、有名な切手の相場(※取引価格が時期によって変動する)を全て会得するまでになってしまったようです。そうこうするうちに、カタログから得られる知識が飽和状態になったことを悟った高橋少年は、突如として、切手への情熱を一気に失ってしまいます。達成感は十分に味わった、といったところでしょうか。 しかし、 その一つのターゲットがオーディオ装置です。 このときにも、普段の生活の中ではパイオニア製の並みのオーディオセットで音楽を聴きつつ、意識だけは最高級のオーディオセットへと向かうことになります。 その場合も、実際にオーディオ店に足を運んで、音を自分の耳で確かめたり、実物を自分の目と耳で確認する代わりに、オーディオ雑誌に載っている製品の写真やデータで自分の欲求を満たしていくのです。 これぞ「カタロジスト」の面目躍如といったところですね。 彼は妄想の中で理想のオーディオ装置を組み上げていきます。アンプはコレで、スピーカーはコレ。プレイヤーにはコレで、カートリッジはコレ、、、といった具合に全て頭の中で組み、そこからは音さえ聴こえてきそうなほどの執着ぶりです。 しかし、翌月には新製品のオーディオが発売になり、せっかく組み上げたオーディオセットは一から組み直しです。もちろん、頭の中だけで。 その挙句に、一度も販売店に行って実物を確認することなく、高橋さんは本当に本物の“理想のオーディオ”を手に入れたそうです。しかし、「立派すぎて」、その装置で音楽を実際に聴くことは少なかった、というオチがついています。 同じようにしてワインに凝ったりもしたものの、その場合も知識ばかりが増え、本物のワインを喉に潤すよりも、ワインについて書かれた分厚いバイヤーズ・ガイドに目を通している方がずっと楽しかったと“告白”されています。 ここまで、日経新聞に載った高橋さんのコラムをご紹介してみましたが、多かれ少なかれ、多くの人にも同じような経験があるのではないでしょうか。かくいう私にも似たところがあり、実際に買ってもそれほど使いもしないであろうモノにまで関心を示し、熱心に“研究”してしまうところがあります。 この話に関連するのかしないのかわかりませんが、本日はもう一つ、朝日新聞に載っていた記事をご紹介してみたいと思います。 昨年12月28日付けの「私がいる時間」というコーナーの記事なのですが、そのコーナーには、著名人の方のある時間帯の過ごし方が面白おかしく紹介されています。 その回は、西和彦さんです。 西さんは、ご自分でも認めるほどの「メカ(=機械)好き」で、そんな西さんにとっての「私の時間」の針は「午前0時」を指しています。 そんな夜中に何をしているのかといえば、家にある家電製品の修理をしたりしているそうです。最近も加湿器が壊れ、その修理を夜中の12時に始め、朝方の4時ぐらいまでかかって直したそうです。本人曰く「加湿器の仕組みがわかって面白い」そうです。 今では車も自分で直せる部分は直してしまうそうで、そこまでいけば大したものですね。 その西さんですが、33歳のときに「株式会社アスキー」を創業し、44歳でそこを去ったあとは、現在の住まいに移り、切り詰めた暮らしをするようになったそうです。 その住まいがあるのは東京駅からタクシーで10分ほどのところで、現在のオフィスがある神田からは15分ぐらいの距離だそうです。家賃は10万円。その1LDKのマンションに奥さんと二人で生活されているのだそうです。 西さんがそのマンションに帰宅するのはいつも「午前0時」なのだそうで、それからが西さんにとってのお楽しみの時間となります。 そんな西さんの何よりの楽しみは、ハードディスク・レコーダーに採り溜めておいたテレビ番組を観ることです。録画する内容は多岐に渡り、バラエティ番組からハイビジョンの紀行ものまで、ジャンルには一切こだわらずに観るそうです。 そうした用途に便利なのがハードディスク・レコーダーというデジタル家電で、これまでのアナログ・ビデオ・テープデッキに比べるまでもなく、CMなどの興味がない部分は瞬時に飛ばして観ることができるため、平均6時間ほど録画してあっても、2、3時間で観終わることが可能だそうです。 しかし、根がやはり凝り性なのでしょう。その飛ばすべきCMに登場した女性が気になり、そこで再生をストップし、今度はその女性についての情報をPCで検索したりするそうです。 要するに、生活の中心にデジタル機器があることになり、コンピュータに関わり出して25年ほどになる西さんにとっては、これからも「デジタル遊び人」としての生活が待っているのかもしれません。 今回ご紹介した二つの話はどこでどうつながるのか自分でもわかりませんが(^_^;、片や高橋さんの場合、カタログによって実物をイメージして楽しむ楽しみ方であるのに対し、西さんはデジタル家電という実物を相手にして毎日の生活を楽しんでいらっしゃいます。ただ、西さんの場合も、デジタル家電で楽しむ内容は、手に取ることのできない“情報”という実体のないモノであり、広い意味では、西さんも「カタロジスト」と捉えることもできないではありません(?)。 私はといえば、お二人を足して2で割った感じでしょうか(←どんな感じ?)。カタログや雑誌を見てイメージで楽しむことも好きなら、実物を実際に手に入れて楽しむことも好きです。もっとも、実物として手に入れることができるのは、安価なものに限られ、私にとってはソニーの人気商品「PSX」(→ 本サイト内関連ページ)とて「カタロジスト」の対象なのですけれどね、、、f(^_^;) ついでまでに、この「カタロジスト」の対象が生身の異性ということになったらどういうことになるのでしょうか? この“問題”については、いずれ機械を、いや、機会を見つけて書いてみることにしましょうか。 【本日の豆ご報告】:本サイト内では、私がいつも聴いていますNHK-FMのリクエスト番組「サンセット・パーク」宛てに出した私のリクエスト・カードをご紹介する「リクエストの足跡」というコーナーがありますが、本日はそのページを少しばかり更新しています。といいますのも、今年最初の放送となった5日(月曜日)宛てに出し、採用されずにボツになったとばかり思っていたリクエスト曲「いつの日にかきっと」(朴保)を昨日の放送でかけてもらえたからです。現金なもので、こうして番組でかかるとやっぱり嬉しいものですねぇ(^-^; 選曲者の東さんから届いたちょっと遅い“お年玉”、といったところでしょうか。この調子で、まだかかっていない「SOON AFTER CHRISTMAS」(スティーナ)もかけてくれたらいうことがないんですが。というのは、いくらなんでも欲張りすぎというものでしょう。ともかくも今回のリクエスト曲採用ですっかり気分をよくした私は、「今年は1カ月に1枚ぐらいのペースでリクエストしようかな」と思い直したところです。 【本日の豆びっくりニュース】:まずはこちらのページをご覧下さい。はじめ、私は悪い冗談かと思ってしまいましたが、NASA(National Aeronautics and Space Administration=アメリカ航空宇宙局)は至って本気のようです。それにしても、NASAが初めて火星の地表に無人探査車「スピリット」を着陸させることに成功したときには、その難しさを表現するために、「パリから東京にホールインワンさせたようなものだ」といっていたのを思い出しました。そして今回は何と、火星の地表で撮影された岩に「サシミ」だの「スシ」だのと“迷名”(=命名)し、その付近一帯には「ワサビ地区」と名づけたそうで、念が入っていますね。これで日本のご機嫌でも取って、日本から宇宙開発費を多く出させようといういうのでしょうか? いや、そこまで深読みするのはよしましょう。 |