■ 2001/09/09 名前の印象

今日の日経新聞・文化面に、小林恭二(こばやし・きょうじ:1957年兵庫県生まれ。東大文卒。作家。著書に「短歌パラダイス」、小説「電話男」「カブキの日」「モンスターフルーツの熟れる時」などがある)氏の書かれたコラムが載っています。

それが面白いので、ここで紹介してみたいと思います。

見出しは「名前の印象」とあり、見出しそのままに名前に対する小林氏の考えが綴られています。

たとえば、といって氏がまず冒頭で例に挙げている名前があります。どんな人か全く知らないとして、次のふたりの名前を見てどちらが強そうに感じるかというわけです。

  1. 小枝たかし
  2. 轟大五郎

いかがですか? 大概の人は(2)の人の方が強そうな感じを受けますよね。ことほど左様に、たかが名前といっても、相手に与える効果はバカにならない、というお話です。

そういえば名前ということでたった今思い出しましたが、私の中学時代の国語の教師が、ある女生徒の名前を「いい名前だなぁ、、、」といつもいっていたのを思い出しました。

今その名前を思い出して頭の中で反芻(はんすう:二度三度くりかえし思い、考えること=広辞苑)してみると、確かに苗字と名前のバランスがいいのか、サラリとした爽やかさが感じられなくもありません。

断っておきますが、その女生徒は私の初恋の女性とかではないですよ、て別に断る必要もないかf(^_^)

ついでにいえば、昨年開催されたシドニー・オリンピック。その女子マラソンで金メダルを獲った高橋尚子選手を指導したことで有名な小出こいで義雄監督がいますが、小出さんは他人の名前にことほか敏感な方なのだそうです。風貌からは想像しにくい(?)のですが。

週刊誌か何かで読んだのだと記憶していますが、彼があるとき、とある旅館に泊まったとき、その宿屋の主人に自分の名前を褒められたことがあるそうです。で、自分の将来についてあれこれと言い当てられたのだそうですが、その時は真に受けては聞いていなかったそうです。

ところが、その後の人生が言い当てられたその通りの展開となり(?)、俄然、姓名判断に関心を持ち、持ち前の探求心も手伝って、その方面の研究を自分なりにしたとのことです。そうした背景には、自分しか頼るものがないスポーツ関係者に共通する気持ちの持ちようも影響しているのかもしれません。

実際、どのようにして姓名の判断をするのか私は知るよしもありませんが、ある年、当時無名の女子選手が弟子入りを志願してきました。それが後の高橋選手なのですが、初めは断ったものの、結局は入部を許可したそうです。

あとで打ち明けたところによると、「彼女の姓名にピンときた」というのです。どこまで信じていい話かはわかりませんが、そんなことを今思い出しました。

ついでのついででいえば、“小出式姓名判断”は相当優秀なのかもしれません。何しろ、4年に一度のオリンピックで、そのピンと来た高橋選手がしっかりと金メダルを獲得してしまったんですもの、ね?

話があらぬ方向へ逸れてしまいました。今日の新聞のソレに話を戻しましょう。

コラムには、小林氏が数日前に経験したというエピソードが紹介されています。

氏が、とある店に入ったときのことです。飲み物を運んできたウェイトレスのネームプレートに何気なく目をやると、そこには見慣れない姓名が書かれていたそうです。

「無量小路珠」

上の名前は果たしてどのように読んだらいいのでしょう。小林氏でなくても戸惑うところです。第一、どこで区切ったらいいのかさえわかりません。「無量小路・珠」なのか。それとも「無量小・路珠」なのか。

そのウェイトレスは二十歳前後で、小林氏曰く「清楚で真面目そうな人」だそうです。

堪らず(?)、氏は「なんと読むのか教えてくれませんか?」と尋ねたそうです。すると彼女はにっこりと微笑んで「“むりょうこうじ”です」と答えたそうです(※同じ綴りで「むろこうじ」と読ませる例もあるようです)。さらには「両親は東京なんですけど、福井の姓だと聞きました」ともつけ加えたのだとか。

それにしても超珍しい姓ではありますね。電話口では説明しにくい代わりに、就職の面接の際など、特別なところでは相手の印象に残りそうではあります。

コラムの最後では、小林氏がその彼女にいらぬ心配(?)までしてみせます。

そのお嬢さんが結婚し、ごくありきたりな「小林珠」や「山田珠」になるとしたらどんな気分なのだろう、と。確かに、変わった姓の持ち主は、殊の外自分の姓に対する愛着が強いものかもしれません。

で、これも小林氏の想像ですが、そうしたときにこそ“伝家の宝刀”である(?)夫婦別姓を持ち出し、堂々と「無量小路」姓を使い続けことになる、のでしょうか?

小林氏は今回のウェイトレスとの出会いがよほど印象的だったのか、「今度是非自分の小説に『無量小路』さんを登場させようと考えた。それも脇役でなく主人公で。きっとユニークな小説になるであろう」とも書かれています。相当な入れ込みようですね。

いずれにしましても、時に作家の創作意欲までも刺激するほど、人の姓名は第三者に様々な影響を与えるものなのかもしれません。

あなたは自分の姓名が好きですか?

【本日の豆データ】:変わった苗字といえば、以前目にした中に「四月一日」とかっていう苗字がありましたね。で、何と読むのかといえば、確か「わたぬき」とかって読むように記憶していますが、あるいは違っているかも。とにかく日本は世界の中でも図抜けて苗字の数が多い国(桁違いのトップ!)なのだそうですから、難解苗字も数限りなくあることと思います。