■ 2001/10/12 軍事行動の思惑

アメリカで起こった大規模なテロに対する反撃が開始されましたね。今日で何日目になるのでしょうか?

日本国内では今回のアメリカの行動を「報復」といった言葉で表現していますが、正しい訳ではないようです。辞書を引いてみますと、「報復」に当たる英単語には「retaliation;revenge;reprisal」があります。

そういえばひと頃、西武ライオンズの松坂党首、、、? じゃなかった。松坂大輔投手が盛んに用いていた言葉に「リベンジ!」というのがありました。でもさすがに、今のご時世では簡単には遣えそうにありませんが。

それはともかく、アメリカ・サイドではこれらの単語は用いていないようなのです。彼らが決まって用いる言葉は「punishment」だそうです。辞書によれば「道徳(経済、社会、軍事)的制裁」の意味を持つようです。

ま、個人的には「報復」の方がわかりやすいです。あれだけのことをされたわけで、それに対して「やり返した」という方が納得しやすいからです。

でも、そうではなくてあくまでも「制裁」という立場を採るわけですね? ただ、どうなんでしょう? 制裁といった場合、そこにはそれぞれの立場に優劣の意味を持つように思います。

つまり、制裁を科すといった場合、被制裁側に対して制裁を科す側が上に立っている印象を受けます。さらにまた、自分たちが正義であり、相手側は間違っていると断定しているわけですよね。

そういえば制裁で思い出しましたが、日本とアメリカとの間で経済的な摩擦が激しい時期には、必ずといっていいほど、アメリカは日本に対して「制裁」を科します。その逆はあまり見聞きしません。どうやらアメリカという国は、元々他国に制裁を科すことが好きなお国柄(?)のようです。

それはともかく、今回の“戦争”を巡っては、あらゆる捉え方がされています。

先日も朝日新聞に作家の辺見庸へんみ よう氏の投稿が載っていましたが、氏はその中で、今回の出来事(※投稿の時点ではまだ“開戦”状態にはなかった)は「貧富の差がその原因となっている」というようなことを書かれていました。そうした一面もあるようには思いますが、物事はそう単純でもないかもしれません。

「堕落と反堕落の闘い」と言い換えてみたらどうでしょう?

私は宗教のことは無知で皆目わかりませんが、それでも今思い出したことがあります。それは、キリスト教のことです。

西欧のキリスト世界では、昔から聖書の物語を絵画で表現するということが長い期間行われてきました。それは、文字の読み書きが出来ない多くの人々に対しても、絵画を通して、信仰の意味を理解させるための手段として採られた方法なのだと思われます。

それがさらに発展して、絵画表現はより華美なものへとなっていきました。しかし、そこへ異議を唱える者が現れました。華美過ぎる風潮を改めようとの趣旨による宗教弾圧です。私は聞きかじった程度ですので、その中心人物の名前さえもすぐには思い出せませんが、彼、彼らは一連の“行動”の中で多くの宗教絵画も焼き払った、ように記憶しています。

今進行形で起こっている事態もそれと同じ、とは思いませんが、ある部分で共通する面もあるような気がします。

アメリカをはじめとする“自由主義世界”は経済的な繁栄を享受し、そして、享受し過ぎるあまり、堕落へと向かっていないともいえない状況もあります。聞くところによりますと、厳格なイスラム教徒(「ウィキペディア>イスラム教」)はそんな私たちとは正反対の“理想”を持っているようです。

そしてまた、不安定な状況下ではどうかわかりませんが、アフガニスタン周辺では、21世紀と14世紀とが混在しているといいます。それは目に飛び込んでくる風景の中にも見られるそうで、日本製のトラックが唸りを上げて走り回る一方、ラクダにまたがった人が悠然と往く姿も同じ風景の中に目にすることが出来る、といった塩梅あんばいです。

過激な思考をするテロリスト集団は論外ですが、ごく一般的なイスラム教徒が彼らの主義主張を持つことは当然の事ながら尊重されるべきだと思います。

その昔のCMソングが頭に浮かびました(「YouTube>『気楽に行こうよ』鈴木ヒロミツCM」)。♪ゆっくり行こうよ オレたちは あくせくしたって なんになる、、、だったかな?

翻って日本のことを考えるとどうでしょう? 日本で最も重要視されているのは、ズバリ「お金」です。テロ勃発以来「経済に与える影響はどうか?」とそればかりが取りざたされています。「金、金、金、金、、、」ホントに嫌になります。

もっと他のことに価値観を見いだせないものでしょうか?

話は変わりますが、今回のアメリカを中心とする軍事行動には別の思惑があるということが今日の産経新聞の一面に書かれています。

「同時テロへの視点 〜米、真の目的は新同盟模索〜」という記事がソレです。

ロシアのシンクタンク「効果的政策基金」の所長・グレブ・パブロフスキー氏によれば、今回の軍事行動を「ブッシュ米政権の攻撃の目的はウサマ・ビン・ラディンの排除ではない」と見ているようです。

では真の目的は何なのかといえば_「(反タリバーンの前例のない国際協調を通して)近い将来、現実的に新たな軍事・政治同盟に転換しうるメカニズム」を形成することにある、といいます。

昨日の新聞に出ていたところによりますと、今回の軍事行動でイギリスが積極的な行動に出ているのもそれなりに強い“目的”があり、NATONorth Atlantic Treaty Organization:北大西洋条約機構)とアメリカのパイプ役をイギリスが果たすことで、自国の影響力を維持したいようです。

また今朝の新聞記事に戻りますが、「冷戦後も東方拡大でロシアに敵対的と映る動きを続けてきたNATOの本格的変革を模索し始めた」ということがいえそう、とのことです。ロシアはロシアでそれを好機ととらえ、将来ロシアがNATOに加わることもあり得ない話ではない、と書かれています。

日本国内のかつての「反米親ソ」(※アメリカに反感を持つ一方、当時のソ連、現在のロシアに親近感を持つ傾向)的な考え方を持つ“進歩的”な人たちのロジック(logic:論理。論法。論理学=広辞苑)も通用しなくなるかもしれません。

なぜなら、アメリカとロシアが同じ側に回ることになるわけですから。

そのように世界の政治が裏側で大きく動こうとしている今、日本の外交も上手く立ち回っていてくれるのでしょうね? くれぐれも日本国民に不利益が被らないよう頑張ってくれることを祈ることにしましょう。

田中真紀子外相、ちゃんとお仕事されていますか〜?