おしぼりうどん
■MORI MORI RECIPE/日本料理/粉物/辛味大根/ねずみ大根/青大根/中国大根/郷土料理/信州

信州北部の旧埴科郡・更級郡の坂城、戸倉上山田、更埴、稲荷山、篠ノ井、松代辺りの極狭い地域の伝統料理「おしぼりうどん」の作り方を紹介します。この地域は、信濃の元になった古代科野の国があったとされる古い土地です。
「おしぼりうどん」とは、あつあつの手打ちうどんを、辛味大根、または中国大根をすりおろした汁に信州みそを溶き、つゆにして食べる料理です。辛味大根を薬味ではなくつけ汁として使うところがミソなんです。
こたつにあたりながら食べる「おしぼりうどん」の味は格別です。わが家では、冷たい年越し蕎麦もおしぼりでいただきます。
一度食べたら忘れられない後引きの美味さ。それがおしぼりです。
 ■材料(約4人前)
●うどんの作り方は「手打ちうどん」のページで。
 つゆとのからみを良くするため、通常よりコシを弱く柔らかめに打ちます。茹で加減もやや柔らかめ。

うどん・・・・・・・・・・4玉
●つゆ
青ダイコン・・・・・・・・1本
辛味ダイコン・・・・・・・1本
(ダイコンの量と割合は、大きさや好みで調整)
信州みそ・・・・・・・・・大さじ4杯
             (1人大さじ1ほど)
●薬味
長ネギ、花鰹、海苔(好みで入れる)


▲青大根(中国大根)の場合は、上のようにきれいな緑色になります。辛味はありますが、白い辛味大根ほどではありません。白い大根の汁には泡が見えますが、それだけ糖分が多いからです。
●辛味大根(写真上はわが家の地大根・灰原辛味大根の系統)は、ツーンと鼻に抜ける辛さが心地よい地大根です。信州の辛味大根では、ねずみ大根(中之条大根)が有名です。ねずみというのは、信州の真田十万国、上田の北の坂城町に、そういう地名があるのです。鼠の形に似ているからでもあります。信州の辛味大根には他に戸隠地大根、灰原辛味大根、親田辛味大根などがあります。地大根には、そもそも辛味があるのですが、甘みも青首大根の倍以上あります。これを「あまもっくら」といいます。煮るとお芋のようにホクホクしています。

●写真下の青大根、別名中国大根(江都青長)は、甘みの大変強いおろし(生食)専門の大根です。原産地は中国だそうです。
●この2種類の大根のブレンドの具合は好みによります。小さい子供は中国大根のみ、私は辛味大根のみ。普通はその中間という配合です。辛味大根に長ネギを入れたつゆは、むせるほど辛いのです。激辛が好きな人は、味噌でなくしょう油を入れます。これにネギをたっぷり入れた辛さは、表現できません。青大根は、流通量は多くありませんが、冬の北信州では普通に売られている大根です。
 ■作り方と食べ方

●うどんを茹でる大きな鍋に湯を沸かしてる間に、「おしぼり」の支度をする。(辛味成分は揮発性が高いので食べる直前に絞る)
1. 中国ダイコン1本と辛味ダイコン(ねずみダイコン)1本を切ってジューサーにかける。
2. 絞り汁をお椀に分ける。2種類のブレンドは各人の好み。辛いのが好きな人は、辛味ダイコンだけでもいい。
●うどんを食べる
  お椀一杯のおろし汁に大さじ1杯ほどのみそを溶き、好みで薬味の長ネギ、花鰹、海苔を入れ、熱々のうどんをつけていただく。

 ▲メモ
●いろいろ調べると大昔の蕎麦の食べ方の原点がここにあるそうで、日本全国の蕎麦通から注文があるそうです。東京で売っている青首大根で作っても水っぽいだけでぜんぜん美味しくないのでダメ。ぜひ辛味大根で召し上がってください。最近は手に入ります。
●昔は大根おろしでおろして手で絞りました。そこから「おしぼり」の名が付いたそうです。冬の名物料理なので、寒い台所でたくさんの家族分「おしぼり」を作るのは、大変つらかったと母が話していました。ジューサーなんて無い時代ですからね。
●特にねずみ大根は、水分の含有量が少ないので、人数分を作るのは大変なことなのです。実は、辛味大根は一種類ではないんです。わが家のは地大根で、大きいんです。他には丸いのもあります。土地によって形や味が変わります。
●長ネギは辛味を増しますし、みそと花鰹、海苔はまろやかにします。大根には消化酵素のジアスターゼが豊富。食べても食べてもどんどん消化してしまい、すぐにお腹がすいちゃうのが、息子たちの悩みの種だそうです。
●北信州の坂城町、千曲市、戸倉上山田温泉、松代には、おしぼりうどんを食べさせてくれるお店が何軒かあります。北信州に冬来られたらぜひ食べてみてください。東京でも信州郷土料理のお店で出すところがあります。

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