ウルトラライト そのC キャリング編
私の山行は70%以上が沢である。登山道から外れサカナを山菜をキノコを求めてさすらう。
藪漕ぎもあれば岩擦れもする。だから素材にはそれなりの強度を求めたい。
シルナイロンなどの極薄生地を使ったパックはNGなので、国内で流通しているアルパインモデルの50Lクラスで重量を比較してみた。最軽量だったのはグラナイトギアの「アルパインヴェイパー」で1190g。容量はメーカー値58Lだが小さく見えるな。実際はそんなに入らないんじゃないかな?
雨蓋を廃したシンプルな作りだがショルダー、ヒップベルトはしっかりしてて、なかなかの背負い心地だ。が・・・この重量だとウルトラライトじゃないよなぁ。つーか、面白味に欠ける。どーせなら超軽量バックパックを買ってカスタムしてみよーじゃないの!
んで、こんなの買ってみました。ゴーライトの「JAM2」
50Lで600g。重量は上の「アルパインヴェイパー」の半分だね。はっきり言って袋にショルダーが
生えた程度のモノだが、素材はDyneemaだから強靱だろう。
軽量化で肝心なのは中身の方だ。バックパッカーと異なるのは釣り道具と沢道具が加わることなんだよねー。
今まで釣り道具の重量って正確に把握してなかったので計量してみた。
私はフライマンにしては道具を持たない部類に入ると思う。フライボックスも1個、フロータントも1種類しか持たないからね。
それでもけっこうな重量になることが判明した。
フィッシング&沢のギア
今まで漠然と1500gくらいかな?と思い込んでたけど・・・こんなに重量があるんだなぁ。ウェーディングシューズも軽いモノを選んでたつもりだけど半分はこの重さなんだね。軽量化のためにはアプローチの山歩きから沢までウェーディングシューズ一足で通さないとダメだな。スパイクソールとか使えば可能かも。
サングラスはケースが重いんだけど、むき出しで持つと壊れそうだし悩みどころ。ナイフはもっと小型のやつに替えよう。
ロッド:シマノ フリーストーンSCL 336g
リール:ラムソンLS1 147g
ウェーディングシューズ:キャラバン柳又 994g
ソックス・ゲーター 287g
サングラス:136g
フライボックス:79g
リーダー・ティペット・フロータント 63g
ナイフ:110g ピンソール:306g
合計:2458g
渓泊まりのときは焚き火のためにノコギリ(277g)も外せない。ワイヤーソーとかあるけど使いにくそうだもんなぁ・・・。
山刀は枝打ち、ナタ目刻み、薪割り、ケモノとの格闘など、重宝するのだが511gもある。
行き先によっては熊よけスプレー(323g)も必要だよん。全部持ったら1111gだ。
さらに沢装備も。
初めて入る沢や険しい谿には8oザイル(980g)、ハーネス代わりにもなるスリング(95g)、エイト(86g)、環ビナ(56g)の4アイテムは必需品なんだけど、全部で1217gもあるねー。
ザイルは軽いポリプロピレンに替えたいな。
このように山岳渓流の釣りや遡行に必要な装備を持つと、はっきり言ってウルトラライトの範疇を遙かに超える重量になってしまうんだよねぇ・・・。身軽になることで回避できる危険もあるとは思うが、ノーザイルだと危ない!という場所に遭遇することも多々あるからね。安全まで削ぎ落としてはいかんと思うのだが、ルートファインディングの能力を高め、厳しいときは潔く敗退を決め込むという発想で挑むのであれば外せる装備なのかもしれない。ま、険しい谿に挑む場合はこれらのギアが必要なので、そのときは過重をしっかり受け止められるアルパインスタイルのバックパックを使うべきだろう。
10sの荷を詰めてみた
下膨れでユニークな形だね。雨蓋がないのにロールトップじゃなく巾着だし。
一番気になっていた背面は思ってたほど円筒形になっていないぞ。マットの改良が功を奏したのかな?
で、肝心な背負い心地は・・・はい、最低です(喜)
腰で過重を受け止められないから、10sはキツイな。
肩が痛くなりそう・・・。
試しに背負って歩いてみたけど階段を下りるときとかブレるねー。ヒップベルトが脆弱、つーか、ただの布とテープだし(喜)
やっぱ背中の接地面積も少ないっす。これを解消しようとショルダーをさらに締めると、ますます負荷が肩にかかっちゃう。
これだったら重くなってもRT55の方が楽チンだなー。
一瞬ヤフオクで売るか?と考えもしたが、その前にちょこっと手を加えてみることにした。
パッドにはベルトが生えているのでこれをカット。
本当はこんな仰々しくデカいパッドではなく、アークのNAOSシリーズに使われてる可変ベルトのパッドが欲しかった(重量は1/4以下じゃないかな?)のだが、販売店で「パッドだけ取り寄せられる?」って聞いたら「ムリ!」って即答された(喜)
で、本国にメールで問い合わせたけど今のところ返事ないっす。
JAM2のヒップベルトにモンベルのパッドをつけてみるとこんな感じ。
立派なアルパインパックに見えるのは私だけ?(喜)
JAM2改を背負って近所の自然公園を1時間歩いてテストしてみた。
配偶者から「知り合いに見られたら恥ずかしいからやめて!」と懇願されたが、サイトのカウンターを見せて「19万人の関心も背負っているのだ」と言って振り切った(喜)
ヒップベルトはパッドなし。
重量は585gとメーカー値より軽い。
フロントポケットにはウォータータイトジッパーが使われているが、ジッパーとジッパーの間に隙間が生じる。潔くシングルジッパーにすればいいのに。ま、雨蓋もなく巾着の口が露出しているから、防水性の高いパックではないな。
ピッケルループはゴム紐で笑える。いちおーハイドレーション対応。
50Lのバックパックというと、当時「別格」と謳われたアークテリクスのRT55(2600g)を所有しているので、その対極とも言うべき袋パック(585g)を使ってみるのも面白いかな。重さ1/4だし。
でも、アウトドア用品の一流品って10年使っても売れるけど、ウルトラライトなギアってそーはいかないだろうね。新素材を使って軽量化したギアは次々と出てくるだろーから・・・。
改造してみた
パッド2個の重量
128.5g
ヒップベルトの効果は絶大だった。腰で支えるとこんなにも楽なんだね。
128.5gの増量になるが、それでも713.5gのバックパックだよん。
沢で使うときはパッドをつけよう。荷で振られることはなくなりそうだ。
山旅ならパッドはいらない。と、使い分けができそう。
当初は背面フレームの自作も考えていた。アルミのフラットバー(平棒)をH型に溶接して作るつもりだったのだが・・・やめた。
材料の重量を計算してみると150gくらい。上記のパッドも加えるとそれなりの重量になっちゃうし、なによりもパッドの効果が予想以上だったからね。フレームが欲しくなるような重量の荷を背負うときは、最初から他のバックパックを選択するほうがいいと思う。
あとはシェルターが届いたらフィールドテストだぁ〜。