雨は昨夜から降り続いている。昨日山菜をさらした河原は増水した流れに洗われていた。この様子だとまだまだ水位が上がりそう。朝食は簡単にすませ、さっさと源頭まで抜けちゃったほうが良さそうだ。
難所はまだまだ続く。
集中力を切らさないように、ね。
支流の出合を通過。ここを過ぎれば水量は落ち着くだろう。ちょっとした落ち込みでも真っ白になってるし渓全体がササ濁り状態。出発があと1時間遅かったら難渋してたかも。
奥に進むと沢がいくつにも分かれる。そのたびにガイド氏はマップで進路を確認。前に来たときとまったく様相が違ってるからルートの確認も大変なのだ。
しっかし、ヒタヒタの水量と聞いてたのに真っ白白だよん。
下で定着したどしゃぶり隊は大丈夫だろうか?
予定では昨日のうちにテン場を下げているはずなんだけど・・・そのまま上に定泊してたら間違いなく閉じこめられちゃうぞ(汗)
ここまでくるとさすがに水量は落ちるけど、滝登りは続くのだ。
私はこのへんでバテちゃったなぁ・・・(苦)
写真を撮るとき、グローブを外してポーチから防水パックを出してカメラを取り出しシャッターを切る。で、逆の手順でカメラを収納。すると二人から大きく遅れちゃう。んで、追いつこうとしてオーバーペースで歩くとスタンスが大きくなってズリッと滑る。
こんなストップ&ゴーを繰り返してたからすっかりリズムが狂っちゃった。
雨脚は弱まるどころか強くなっていった。
レンズが曇って写真がボケボケだぁ。
沢はササ濁りを通り越してまっ茶ちゃだぞー。もう底が見えん(汗)
ホント早立ちしてよかった。
雪渓も登場。薄いから怖いよぅ・・・。K海さんが片足を踏み抜いてしまったが大事に至らず。
最後の難所・・・ネマガリの藪こぎ。
←は藪の入り口でこの先は密生していくのだ。壮絶!(苦)
かき分ける腕力と前へ体をねじ込む推進力、そして根性が物を言う。
脚力は抜群なのに何故か藪漕ぎが苦手なK海さんを尻目に、私はタケノコを拾いながら蛇行して進む(喜)
草付きのツメって聞いてたのに・・・まだまだ水が流れてるじゃん。
昨日までロマンチックに「原初の一滴」とか想像してたんだけど、どろどろぐちゃぐちゃでもう何が何だか・・・(泣)
藪の薄いところを辿り、30分ほどガサガサやってたら登山道へ飛び出した!
←藪から脱出した私。
笹まみれ、泥まみれの風体だが、タケノコを抱えて目だけが笑っている。不気味・・・。
藪に突入する前にシルナイロンのザックカバーを外したのは正解。裂けちゃっただろうねー。
JAM2のサイドポケット(メッシュ)には数本の笹が突き刺さってた。
登山道に出ればこっちのものだ。ガイド氏も安心したのか握手を求めてきた。
ガッチリと握手を交わし、完全遡行の喜びに浸る。
が、難所はまだまだ終わってなかったのよねぇ・・・登山道がぬかるみ、まるで田んぼを歩いてるような酷い状態。
さらにガイド氏の一言で心がポキッと折れる・・・「この雨じゃリフト動いてないだろーなぁ」・・・そ、そんな殺生なぁ、もう歩けましぇーん(涙)
グチャグチャの登山道は予想してたより勾配もキツい。で、ピンソールを装着。
効果は抜群!フルアイゼンをつけたかのようなグリップ力だ。
消耗しきってあえぐように登り詰めていくと稜線に出た。ぐふぅ、もう動けねぇ・・・。
そこで、眼下の煙った谿で顔面蒼白になってるであろうエッグマンをイマジネーション。足が攣って弱りきった姿、難所でヒザがプルプル震えている姿、寒さと苦しさで目から鼻から体液を流している姿・・・よぉっし!「俺はまだまだやれる」とパワーが出てきたぞー(喜)
登山道の分岐まで歩いていくと・・・なんだぁ?
実はトレランの大会のコースとなっていたのだ。500人が走り抜けたんだって。どーりでぐちゃぐちゃになってるワケだぁ。
最近ブームになってるのは知ってたけど、悪天候でこの悪路を走るなんてスゲーな。
タープの下で小休止させてもらいスタッフの人からいろいろ話しを聞いたら、このコンディションでリタイア続出。で、搬出のためにリフトは動いてるそーな。やったぁ!(喜)
6月29日(日)
4日目

最終日は5:00起床。さくっと荷を片付けタープの下で朝食の支度。
今朝のように焚き火ができない状況があるから、火力のあるストーブは持たないといかんな。
エスビットストーブじゃ話しにならん・・・。




6:40行動開始。冷たい雨に叩かれ悲愴感が漂ってますな。
この滝(写真右)も昨日は右壁に流れなんかなかったのに・・・シャワークライムだよん。









ここが最後の分岐・・・のはず?!
あとはひたすら上へツメ上げるだけ。







リフトが動いてると聞いた途端に気力がみなぎってきた。
ここからは私の足が一番速かったぞ。
登山道に出てから1時間経過。草原が見えてきた。スキー場だろーからリフトはもうちょいかな?

おおぉ、リフト動いてるじゃん!
フィナーレは空中で揺られながら、沢旅の思い出を胸に刻み込む作業なのだ。

麓に降り立つとデポしたK海号は目の前だ。
寒いからヒーターがんがんにかけてくれぇ〜。
下界に戻った途端、いつもの弱々しい人間に戻ってしまうとこが悲しい・・・。
K海号に乗車して入山口に駐車したガイド氏の車までひとっ走り。同じとこから入山した「どしゃぶり隊」が気掛かりだぁ。
40分ほど走って駐車スペースに着くと・・・おおぉ、どしゃ降り隊の車はないぞ〜!連中も無事下山できたのかな?
ガイド氏の車には置き手紙が差してあった。読んでみると、逆に我々のこと心配してたみたい。お互い無事で良かったね(喜)
最後に温泉で汗を流してガイド氏とお別れ。おつかれさまでしたー。
こうして3泊4日の冒険は終わったのだ。
まとめてふりかえってみると、今回の行程は水平距離で約25q。標高差は約1200m。
原生林に支配された渓は穏やかに、そして、ときにダイナミックにその姿を変える。高くはないが秀麗な滝を多く落とし、ナメの造形と相まった渓谷美にすっかり魅了されてしまった。
食料は現地調達ってのもスリルがあって楽しかった。これまでにもガイド氏から山菜、キノコ、調理法、焚き火のコツなど教わってきたので、その成果を試す場でもあったような気がする。山の恵みを必要な量だけ甘受する・・・これだけで心豊かな食事ができるんだよね。これこそ「沢の食事」なんだろーけど・・・状況によりけりなんで、飢える覚悟も必要かと(喜)
タープの利便性も再認識。なにしろ自由度が高い。テン場の地形、広さ、人数、天候・・・さまざまな状況に応じて張り方を工夫するのも楽しいかも。あとは防虫対策をどーすっかだなぁ。
森と水のツアーが心地良いのは、スケジュールが大雑把なとこかも(喜)
沢旅は細かくスケジューリングなんかしないで、おおらかに楽しんだほうがいいもんね。その場の状況でなるべく自由に気持ちよく遊ぶ。渓谷美に見惚れるも良し、イワナ釣りに熱中するも良し、崖に張り付いて山菜を採るも良し、流れに身を沈めて奇声をあげるも良し、大自然に飛び込んだら思いっきり遊ぼうぜぃ。
あ、いちおーガイド氏は押さえるポイントは押さえてるみたい?っす。増水時のエスケープルートとかもね。ここらへんの危機管理や判断力も学びたいものだ。
原初の自然に身を委ねる沢旅。下界のしがらみやストレスから解き放たれ、替わりに体内に澄み切ったものが広がっていく。これだから源流釣行はやめられない!(喜)
4日も家をあけて・・・配偶者が・・・超怖いけど・・・(汗)
おしまい

special thanks. Mr.Mitsui
写真の一部は森と水から提供されています