軟弱幕営隊
暴風に挑むの巻



2月23日(土)−24日(日)




2月23日・・・東日本では「春一番」つーか、もう「暴風」と言うべき突風が吹き荒れ、横浜市内は最大瞬間風速は23.4mを記録して鉄道も止まった。こんな天候の中で泊まり道具を背負って山に突入した勇者(愚か者か?)が2名・・・K海隊員とRocky隊員です(喜)

時期的に「ダイアモンド富士」が見れるかも?、夜は「百万ドルの夜景」、朝は「モルゲンロート」を観賞しよう!と私が日取りを決めたのだが、生憎(幸い?)仕事が入って言い出しっぺの私が参加できなくなってしまったのだ。
今日の風は平地でも突風が吹いたときは歩くのが困難なほどである。山の上を想像するといささか心配ではあるが、今夜はサッカーの日韓戦もあるし熱中すれば心の片隅からも追いやることができるだろう(喜)
で、仕事に励んでいると、山頂の二人からTELが・・・「テントが飛ばされた」とか「ヤバイわ、これから下山する」とかを期待したんだけど、意外にも「え?下界はそんな風なの?」「ほぼ無風だよ」「景色最高!」とか言ってるのよ〜。
いちおー、夜行ハイクの支度はしておいたので、彼らの待つ山へ突入しようか悩む私・・・周りの人にこの話しをしてみると、社長は「おまえバカか?」、同僚は「絶対やめたほうがいい!」、山仲間は「そりゃー罠だ!」、最後に配偶者に聞くと・・・「行けば?!」・・・ええっ?、やっぱ休日は私がいないほうがいいのね(涙)
配偶者の一言で自虐的になった私は真っ暗な峠道をひた走るのであった・・・大丈夫なのか、俺?(汗)




準備編

今回の山行で投入した新しいギアをいくつか紹介しよう。

冬山で使える全身用のマットを物色していた。リッジレストは温かいが鬼のようにデカいので選考外。サーマレストのプロライト4女性用が腰と足の部分が肉抜きされてないので雪上用として評価が高い。が、価格も高い。モンベルのマットは肉抜きされてないから良さげなのだが、ウレタンフォームが柔らかいしエアが入らないからすげー潰れるんだよねぇ・・・サイトにある実験の写真は負荷のない状態の断熱性試験なので鵜呑みにできないよなぁ。
で、こんなキワモノ買ってみました。セールでめっちゃ安かったんで・・・。
パシフィックアウトドア/オールアウト・マウンテン
特徴は肉抜きがタテではなくヨコ穴にされてること。エアを含む量が多いのでツブれないこと。
構造的には表面にコールドスポットができない?だろーから、もしかしたら温かいかも?!


スタッフサック内部のポケットにはリペア材とマジックテープつきのベルトが入ってます。
構造的にはウレタンオープンセルだが、エアマットに近い印象だ。メーカーは4シーズンモデルとしてラインナップしてるが大丈夫なのかね?

バルブにはアルミが使われ、そこそこしっかり作ってありそう。


このマット、国内では昨年から出回りはじめたばかりで、まだレビューも見たことない。そして、店員ですら「雪上で使ったことない」という商品なのだ(喜)。いきなり雪上で使ってエアがシューシュー抜けた!とかでは洒落にならんので家で数日寝てみた。で、今のところエア漏れはない。バルブは合格点か?!

形はマミー型。余分?な部分を削ぎ落として軽量化に貢献してるのだろう。
全長は実測するとメーカー値よりも短い175p。幅は一番広いところで51pだった。

腰から上はフォームコアが横穴に肉抜きされているので表面にコールドスポットがない。
逆に足元はタテ穴で、しかもかなり穴が大きいので下から冷気ががんがん伝わりそう・・・。


私のテントのボトムはダイヤ形で、実は長方形の全身マットじゃ収まらないのだ。購入理由はこの形だから(喜)

サイドに空気の流れを作って熱を伝わりやすくするエアロフトサイドなるチューブ構造になっているが、素人の私には「空気の流れがあったら断熱効果が薄れる」ような気がするのじゃが・・・。


収納サイズは13p×31pで重量は784g。

プロライト4より小さいが重い。
断熱性はどーなんじゃろ?


マットは実際に使って体感してみないと断熱効果がわからないので、後ほどインプレを紹介する。



次はベースレイヤーだ。仲間うちで評価の高いファイントラックのフラッドラッシュ・スキン・メッシュを購入してみた。コレは肌に直接着用する耐久撥水ベースレイヤーで汗を外に出して濡れ戻りがない、という特徴を持つ。従来のアンダーウェアのさらにインナーに着用して効果を発揮するアンダーウェアのようである。

生地は水を吸わない。汗は外に出して戻さないから、いつもドライな着心地らしい。
外に出した水分は垂れ流しだろーから、吸湿発散するウェアをレイヤリングしてはじめて効果が得られるみたい。

この生地はメッシュの割に意外と伸びが少ない。2ウェイしか伸びない感じ。で、脇の下にマチを設けているのだろう。


これらのニューアイテムとウルトラライトな装備を中心にパッキングしてみた。今回は稜線で幕営するので、新しく買ったシェルターは外してテントをチョイスしたけど・・・。




突入編


山頂にいる二人からの電話で「チラチラ雪が降ってきた」と聞いていたが、駐車スペースに着くと星空がひろがっていた。これならモサモサ降ることはないだろう。夜行登山で雪に降られると視界が効かないからね。
何度も登ってるルートだし、登山者も多いから踏み跡もハッキリついてて道迷いの心配は少ない。夜行登山で一番大事なライトは二つ持ったし両方の予備の電池もパックに入れた。あとはスリップに注意すれば大丈夫だろう。

駐車場で愛車のライトを照らして最終パッキング。
ニューパックのJAM2は前日の計量で9.5s。雪山装備で重量を削りまくって私的にはこれが限界。
雪は汚れているので水は2L持ち上げることにした。コンビニで買った夜食と行動食も加えて最終的には12sくらいかな?

19:00に行動開始。舗装された道路を30分ほど歩いたが、ツルツルに凍った箇所もあって実はここが一番危なかったかも。
登山道に取り付くと入り口から雪に覆われていた。


昼間だったらわんさか人がいるであろう登山道もさすがに静まりかえっている。聞こえる音は風のうなる音だけだ(涙)
転倒骨折だけは避けたかったので当初は10本爪を履こうと思っていたが、軽アイゼンを選んで良かった。雪は柔らかかったっす。

今日のレイヤリングは
フラッドラッシュ・スキン・メッシュの効果を試したくて、あえて発汗するようウール4+ポイント5+R2+グレードYJKT。で、30分ほど歩いたところで暑くなってR2を脱いだ。で、びっくり。ウール4がぐしょぐしょに濡れてます。フラッドラッシュ・スキン・メッシュがドライなんでこんなに発汗してることに気付かなかったんだねー。いつもならパックを背負った背中はアンダーウェアが貼りついちゃうんだけど、コイツを着てると濡れた感覚は感じるんだけど貼りつくような感覚はないや。
ただ、ウールをレイヤリングしたのは失敗だった。吸った汗を発散しきれないんだな。やっぱ化繊をレイヤリングするべきだろう。それも、かなり体にフィットするサイズが効果的だと思う。

ニューパックのJAM2はヒップベルトにパッドを装着したが、12sだと暴れるねー。パッドもすぐにズレることが判明した。これは片手で瞬間に直せるし、ズレても腰に負荷は掛かってるから役に立ってるんだけど、ちょこちょこズレを直すのは煩わしいな。縫いつけちゃえばいいんだけど、軽い荷のときはパッドは必要ないからなぁ・・・。パッドのベルトループはマジックテープになってるから、JAM2のベルトにマジックテープを縫いつければ改善できるんだけどね。今度改良してみます。

行動開始から80分で手前のピークに到着。雪上の夜行登山としてはなかなかのペースだ。
下界の町並みの光が眩く輝き、丸い月も顔を出していた。

二人の待つ山頂に目をやると・・・おおっ、ヘッドライトが二つ灯ってるぞ。BDのスポットを点滅モードにすると、向こうのライトも点滅を始めた!間違いない、Rocky隊員も同じライト使ってるからね。
両者の距離は直線でも400m以上あるのにスゲーな。イーライトだったら届かなかっただろう。


この寒空の下で私の到着を待っている仲間がいると思うと気持ちがはやるが、ここからは稜線の歩きなので慎重に歩みを進めた。踏まれて締まったトレース跡を少しでも外すとズボッと潜っちゃうからね。

最後の登りで息があがるも、二人のライトが大きく見えてきたので一気に登る・・・で、到着!!
仲間と山頂で合流する登山もいいもんだなぁ(喜)と感慨に耽っていると、二人は「うひゃひゃ、まさか本当に来るとはなー」「この風だぜ」「明日も仕事なんだろ?」「ふつー来ねーよなぁ」・・・おいっ!再会を喜んだり労いの言葉をかけたりする場面じゃないの?


ひとまず避難小屋へ入ってみると、うひゃ、食い散らかしてますな。

献立は私が提案した「しゃぶしゃぶ」だった模様・・・。
少しくらいは肉が残っていても良さそうなものだが、「いやぁ美味かった」「食い過ぎてズボンが履けなかった」だってさ。ここらで軽〜い殺意を覚えました!

わびしくカップ麺とおにぎりを食べてから夜景を眺める。
強風と怒り(喜)のため手ブレしてま。


夜景もすばらしいが、夕暮れ時も見事だったそうな。最初は雲がかかっていて山水画の世界。日没直前に雲が取れ名曲昴の世界。サンセットは残念ながら富士の山頂からズレて「ダイアモンド富士」とはいかなかったみたいだけど、刻々と移り行く自然の景観を堪能したよーです。

百万ドルの夜景に酔いしれつつも寒風に耐えられなくなってテントの設営。ピークから一段下がったところを整地していてくれたので、ありがたく使わせてもらうことにする。まわりには低木もあるし、もっとも風が除けられるベストポジションだ。
Rocky隊員も同様の場所に幕テンしているが、K海隊員はロケーション重視?で崖の際に張ってます。なんでも北アの縦走にそなえ耐風試験をするつもりらしいっす。大丈夫なの〜?







翌朝

5:00頃から地鳴りを伴う風が吹きつける。久々に「恐怖」を感じるほどの烈風を体感しました(喜)
テントの生地が風に叩かれ、結露して凍った水分がパラパラ顔面に落ち、冷たくて寝るどころじゃねぇっす。剛性充分の私のテントですらゆがむほどの烈風だから「K海隊員のテントじゃひとたまりもないだろーな」と一瞬心配したものの、シュラフに冷気が入るのが嫌なので「もう手遅れ」「今ごろ崖の下」と決めつけ全力で惰眠をむさぼる。

6:00をまわったころ「日の出だぞー」という声がしたので慌ててジッパーを開けるとK海隊員は生存してました(喜)

モルゲンロート

あああ、なんて美しいんだろう。夜景と朝焼けを見れただけでも来たかいがあった。

K海隊員のテントU.L.ドームシェルターは風で押しつぶされ内部が半分から三分の一位まで煽られながらも、生地が裂けることもポールが折れることもなかったようです。本人曰く「ぎりぎり」だったそーですが・・・。


バンカー1

私のテントは二カ所を石で押さえただけ、風上の立木から1本張り綱をとっただけで耐えてくれた。
ポールは極太の12mmユーナンスカンジウムPF、生地も強度があるし全高86.4p、耐風性は抜群だ。
ただ、ものすごく狭い。慣れちゃったけど。居住性を犠牲にして重量を削り、耐久性のみを追求したモデル。
この仕様でミニマム1.5sは軽いと思うのだが・・・『山で楽しもうよ!』という遊び心はまったくないテントだな。


朝の気温はマイナス10℃くらいだったが、強風のため体感温度はもっと低く感じたねー。ニューマットオールアウト・マウンテンの寝心地だけど、弾力はいい感じ。上半身は下からの冷気も気になるほどではなく及第点。リッジよりは冷たいけどプロライト3よりは温かい。プロライト4は持ってないので比較できないが、そんなに差はないかもしれない。ただ、足の部分は予想通りフォームの形状が異なるのでちょっと冷たかったっす。

フラッドラッシュ・スキンは寝るときは脱いだほうが良かった。直にウールを着たほうが温かく感る。このアンダーウェアは評価が真っ二つに分かれてるのも頷けるなぁ・・・。沢屋とかカヌーイストのように外から水を被る人種に好評なのはわかるけど、その他のアクティビティにはどーなんじゃろ?・・・夏の暑いときに2枚着るより、単体で吸湿発散するウェアを着たほうが発汗自体を押さえられると思う。生地は吸水しないからドライに感じるけど、外に放出しきれない汗は肌の上で流れてるしね。私的には汗を吸う生地の方が好みだな〜。何度か使ってみて真価を確かめたいと思いまっす。

避難小屋で朝食なのだ。

と、ここで、固形燃料ストーブを使ってみようと思ったのだが、すぐ隣でK海隊員のガソリンストーブが勢いよく燃焼してるのを見て萎えました(喜)
やっぱ厳冬期はガソリンだよなぁ・・・。トロトロ固形燃料燃やしてドライフーズなんか作ってる間に二人はパッキングまで終わっちゃいそーだし。団体行動では使えないかも?!


私は仕事があるのでもう下山しなくてはならない(悲)

二人は尾根を歩いていくつかのピークを踏んでから下界へ戻るようだ。
今日も風が強い。岩場で飛ばされちゃうかも。今生の別れとなるかもしれないので、記念撮影をしてから送り出した。


結局新しく買った軽量グッズで使ったのはJAM2だけだぁ。
ストーブもクッカーもヘッドライトも出番ナシ。冬季の山頂で使えるギアじゃないんだろーな。
ピークハントした後にちょっと下の樹林帯で幕営すればいいんだろーけど。
JAM2は特異な形(下膨れ)でパッキングもしにくいしアクセスもしにくい。背負い心地も悪い。私的にはまたまた評価が一枚下がったかな。
でも、コイツが背中でブレてるとき、息子たちが小さかったころ背負子に乗せて山を登ったときのことを思い出させてくれた・・・あの頃は可愛かったよなぁ・・・(遠い目)
JAM2ももう少し可愛がってやるとするか!


せっかく軽量化したのに多くのギアを使わず仕舞いで不完全燃焼なので、来週は麓で幕営してみまっす!



おしまい





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