ヤマトの楽園1

7月4日(木)

純血のヤマトイワナを追って乗鞍の秘渓へ。


待ちに待った山中一泊の源流釣行です。今回は純血のヤマトイワナを追って乗鞍の秘渓を訪ねてみました。同行はO氏。
この渓は下流部は堰堤の連続。中流部は滝の連続。上流部はV字峡谷で、この人を寄せ付けない谷深い峡谷に純血のヤマトイワナが封じ込められ、種を保っているようです。
7時に車止めに着くと、梅雨の合間のやさしい日差しが我々を迎え入れてくれました。装備を背負って3時間ほど登山道を歩いてようやく下降点に到着。


楽園の入口

地図とコンパスを頼りに高度差400メートルの谷を下降します。
傾斜がキツいので何度も転びながら歩みを進めますが、いっこうに水音が聞こえてきません。

クマの密度も高いようなので緊張感のある下降となりました。


2時間近く経ったでしょうか。水の流れる音が心地よい奏でとなって耳に届きました。あと少しだ!支えることを拒みつつあった足に喝を入れます。

着いた!

渓は日増しに力を強める初夏の日差しを映して輝いています。



フライを落とすと一投目でヒット!24センチのヤマトです。


渓の表情を味わい、確かめるように流れに分け入ると、自分が渓に同化していくような気持ちになります。ゆっくりとしたキャストからフライを投じると、一投目からヤマトが出てくれました。写真を撮ってリリースすると、小さなため息をついて森を見上げます。こんな瞬間は「ああ、フライをやっててよかった...。」と心から思います。

朱点が全体にちりばめられたヤマト。
放流ができない峡谷だからこそ保たれた野生の証。


今日まで私の中では幻であったヤマトですが、ここぞというポイントから次々と顔を出してくれます。少々ドラグがかかっても、追い喰いしてくる個体もいます。無垢な魚はこんなに素直に反応してくれるんですねえ。


両岸には山抜けした痕があり、荒れた渓
相の区間もあります。
岩蔭をそっと覗くと、頭だけを隠している
イワナもいました。
傾斜がゆるんでいくと、樹木の中で瑞々
しく流れる区間がありました。
森は鮮やかに発光して、O氏を包み込
んでいます。
途中途中で顔をみせる滝に畏怖と畏敬
を覚えるのは私だけでしょうか。飛沫を
浴びながらザイルを使って高巻きます。
この上の渓はどんな表情でしょうか。


4:00を過ぎると山稜の影が流れをまたいで対岸の山肌をのぼっていきます。テン場を確保して張り終えた頃には夕暮れの斜光から静かに闇へと移ろいでゆきます。
焚き火をおこすと、わずかに光を残す濃紺の空に煙りがなびいていきました。

焚き火の炎を見ていると、なぜこんなに安らかな気持ちになるのでしょうか。
瀬音に混じって炎が爆ぜ、そのむこうには深い森と深い闇。



炎の上に鍋を置いてささやかな夕食が始まりました。
今日の釣りを振り返り、明日の遡行に想いをめぐらせます。



それにしても、いい一日でした。魚もたくさん釣れました。


JAZZ DISC REVIEW

Ella Fitzgerald & Joe Pass / Take Love Easy

山中の夜に焚き火を囲んで聴く最上のアルバムでしょう。エラの創造性豊かなヴォーカルとパスの内省的でウォームなギターが絡むデュオアルバムです。パスは私が敬愛してやまないギタリストで、特に歌伴は素晴らしいです。本作品でもベースラインをコードワークに組み込んだり、ここぞというところでは単音のスケールをちりばめるといった豊かな表現力を発揮しています。モノラル録音というのも泣かせます。





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